
もうずいぶん前に体験したちょっと不思議な話
2000年夏、わたしは会社を辞めて求職中でしたが、
まぁせっかく時間もある事なので、兄夫婦が住む
オーストラリアに遊びに行きました。
兄の奥さんはオーストラリア人の方なのです。
日本語がペラペラなのでコミュニケーションは問題ありません。
当時はシドニーオリンピック、兄たちが住むキャンベラは
サッカー日本代表のグループリーグの試合会場となったので
それを観戦するのが主なプランでした。
このときのお話はまたいずれするとして、わたしのオーストラリア旅行の
後半はそのあと大自然を満喫し、伯父さんのおうちに泊まったり土ボタルを
見たり野生のコアラを見たりと小旅行を満喫するこにとになっておりました。
こうしたプランの詳細はもう、兄夫婦に任せきりでしたが...(笑)
その旅先、最初の一泊はコテージを借りてそこに泊まりました。
木造一部屋のオシャレな....というよりアンティークな雰囲気が
漂う小じんまりした良い感じの部屋でした。
一階建てで一軒一軒が独立しておらず、アパートみたいになってました。
コテージは二部屋借りまして、一方を兄夫婦、もうひとつをわたしが
泊まる事になりました。
兄夫婦の部屋の方でその日けっこうお酒が入って
わたしも海外旅行自体経験がほとんどなかったことも手伝って
テンションも上がりっぱなしだったことを記憶しています。
だいぶ夜も遅くなってきたので、明日の予定もあるし
そろそろお開きにしようかとなりまして
自分の部屋に戻って鍵をかけ、ベッドに入りました。
旅の疲れと酔いもありまして、すぐに眠りにおちてしまいました。
翌朝.....というか早朝だと思います。外がようやく
明るくなったかならないか、くらいな時間。
出窓から朝もやの外の様子をぼーっと見ていると...
妙なものを見つけました。
[1回]

窓の結露を利用したらくがき.......
オーストラリアでは時期的にちょうど今の
日本くらいでしょうか?まぁ気温が低いので
結露ができていましたが、その結露に落書き....
レンガの壁の向こうからニコニコ顔がひょっこり出ていて
波平かオバQのオージローみたいな毛が一本、その先はなんか
パッパってなっていて(笑)点火されたバクダンに見えなくもない。
その絵の上には小さな爪でカリカリひっかいたような跡が見える。
「????????」
この日このコテージには他のお客もいて、中には子どももおりました。
(誰かわたしの部屋の出窓に落書きを????)なにげなくその絵に
指でなぞってみると、普通に上から私の指跡がつく、
そりゃ、そうだ。結露の落書きだもの、部屋の内側からしか
描けるはずが無い。
つまり、わたし以外の誰かがこの部屋に入り、結露を利用した
落書きをして出て行った???
あわてて、隣のコテージで寝ている兄夫婦の部屋に行き
兄に事情を説明しました。兄もびっくりして「財布とか盗られてないか???」
と聞いてきました。
泥棒.....そうか、その可能性があったんだ!!
とっさに自分の部屋に戻り財布を確認する!!!
財布、パスポート、所持品はなにも盗られていない。
遅れて、兄が入ってきました。「どうだった??」っと
わたしはとりあえず物は盗られていないと告げ、
問題のらくがきはこれだと兄に見せようとした瞬間、びっくり
.......ない!!さっきまで窓に描かれていた らくがきが
きれいさっぱり消えている!!???
それどころか結露したような様子もない。わたしが上書きした
指跡すら消えているとはどういうことか?????
なんだか訳がわからない。呆然となるわたしに
「単なる飲みすぎで夢みたんじゃない??」という兄、ごもっとも(笑)
兄の奥さんはもう少しメルヘンな解釈というか冗談を言いました。
「独り寝のさびしいすぬあにのところに妖精さんが遊びに来たんじゃない??」
どうすか??まるでおとぎ話のようでしょ??これにはちょっと心温まりました。
そのあとはもう問題もなく、旅を続行し、およそ二週間余りにも及ぶ
充実したオーストラリア旅行を満喫できました。兄夫婦に感謝です。
旅先で出会った不思議な出来事、でもなぜだか“怖い”という恐怖はなく、
なんだか微笑ましい、兄の奥さんのメルヘンな解釈のほうが、むしろ
ぴったりくるような体験でした。
おしまい
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